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渋野日向子選手のスイングの秘密

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 2019年全英女子オープンを優勝した渋野日向子選手のスイングを、今回は解説してみたいと思います。

 渋野日向子選手がメジャーを初制覇できた一番の要因は、、やはり初日のパターがあまりにも入ったことでした。実力もあったことは間違いありませんが、奇跡ともいえるほど信じられないほど入りました。米男子プロゴルファーのジョーダン スピースがマスターズを21歳で初優勝したときに、3メーター~10メートルをたくさん沈めた出来事を思い出します。その時に、ジョーダンスピースは世界有数のパットの名手となったわけです。

 自分を信じ続けて努力をしてきたなかで、運という要素と努力という要素が、化学変化を起こすことで奇跡が生まれます。何千人といる女子プロゴルファーのなかで、奇跡が起こせるということは、やはりじっくりと実力をつけたからこそ、チャンスを生かせるのです。
 石川遼選手が高校1年生でトーナメントを優勝してから6年間トップに居続けたことも、バンカーからチップインバーディーを取った奇跡があったからです。石川遼選手は現在、ケガとスランプと戦っていますが、高校1年生から6年間がピークだったということが、渋野日向子選手の今後の選手としてのお手本であり、戒めでもあるといえます。

 渋野選手のスイングは、リズムとテンポを大切にするスイングなのですが、石川遼選手の20歳までのスイングリズムにタイプが似ています。スイングの連続写真で、スイングの中の躍動感を真似しようと思っても、躍動感のなかで作られたスイングをあえて止めて真似しても意味はありません。
 例えていうならば、プロでないかぎり、野球のピッチャーの腕のしなりをスローモーションで分析して真似することはしませんね。テニスのサーブを全身のしなりも含めて、完全にコピーしようともしないと思います。自分の体力に見合った、趣味として楽しめるフォームが大切なのは言うまでもありません。
 なぜか、ゴルフというスポーツだけがスイングの連続写真が頻繁に週刊誌に取り沙汰されていて、トップの切り返しから0.3秒で終わってしまうスイングを、連続写真を参考にしすぎてしまい、間違った分析をするきっかけを作ってしまう環境ができてしまっています。もちろん、スイングの連続写真は正しく分析できるのなら、とても意味のある資料なのですが、リズム溢れる躍動感を損なわない中でスイングを改善できなければ、下手になることに繋がります。
 
  石川遼選手がアメリカに行ってスランプで日本に戻って来たときに、「躍動感を取り戻す」と自分でテーマを作っていたことは有名な話です。渋野選手も、焦りながら、もっと上手に成らなくてはいけない!ではなく、自分のスタイルを見失わず、生かして経験を積んでいくことを地道にのんびりこなしていけば、世界で一番になることは夢ではありません。
   
   スポーツ選手の世界では、あくまでも結果で全てが決まるので、「しっかりしなくちゃいけない」ということが、かえって結果につながらない方向に向くこともあり得ます。石川遼選手は、人としてとてもしっかりしていますし、私個人としても好きな選手なのですが、もっとゴルフに集中して、時には、人目をはばからず、プレーに集中できたらいいのにと、よく思います。試合のときは自分を大切にして、ゴルフから離れた時に、立派な社会人となればいいのであって、そのスイッチのオンオフができないと、結果が全てのスポーツ選手は生き残ることができません。

 渋野選手の今後が予想されるのは、石川遼選手と同じように数年間は基礎体力とスタミナが、アスリートとして高まっている年齢は、とても活躍すると思います。アスリートとしての若さから、ベテランに成り変わる時期に、体力よりも、技術でカバーできる選手に成り得た時に30歳を過ぎても活躍できることが可能になります。

 また、渋野選手のスイングは、ダウンスイングからインパクトまで、岡本綾子さんの生き写しのようなフォームなのですが、選手当時、岡本綾子さんは世界で一番美しいリズムと称されていました。2人ともソフトボールを経験していることが、しなやかなクラブ裁きに関係しているはずです。全身を使ってバットを振っていたことが、インパクトとのきに、ボールに合わせることを防いで、スイング全体の「固さ」を取り除くことに成功したといえます。

 もし、渋野選手のスイングを参考にしたいという人は連続写真の細部を真似するのではなく、動画で1.4秒でおわってしまうスイングを全体的に観て、トップからダウンスイングの切り返しのしなやかさ、フィニッシュでクラブが背中でバウンドする躍動感を、取り入れてみるといいでしょう。スイングの細かいところを気にしすぎてスイングに固さが出てしまった人には、渋野選手のスイングはとても参考になると思います。

 渋野選手のダウンスイングがダスティンジョンソンに似ているとか、インパクト以降の体の回転の仕方がひっくり返るようになっていてジョーダンスピースとそっくり、ということはスイングの連続写真を観ると気になるところですが、ではダスティンジョンソンのスイングを真似しようと思いますか?ジョーダンスピースのフォロースルーを真似しようと思いますか?ということと同じことになってしまいます。上級者以上のレベルでないかぎりは、全体のリズムを大切にするということを、渋野選手から学んでいただけたらと思います。ちなみに、渋野選手は「ボウガン型」のスイングなのですが、これについては別のテーマで改めて解説します。「ボウガン型」というのはダスティンジョンソンやブルックスケプカ選手のスイングのタイプスイングなので、渋野選手は男性的なスイングともいえますね。

 ゴルフにかぎらず、スポーツのフォームというものは、躍動感溢れるリズムが必要なんだと、教えてくれるのが渋野選手のスイングなのです。


 自分でスイングを固くしてしまった人に、たくさんの練習ドリルの工程をふんで、リズムを整えながらスイングを修正していくことが、本当に手間がかかるという現実を、私のレッスンをしている日々のなかで感じていることを、皆さん、よく理解していてください。自己流で間違ったスイング修正をするぐらいなら、リズムを大切にするほうがスランプにならないということを忘れないでくださいね。


 ゴルフのスイングというのは、本当に色々な要素があって奥が深いですね。なかなか、スイングが完成しないのはどうしてなのか?聡明な思考でよーく考えてみてください。
 
2019年08月08日 08:31

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